The Kamoto Medical Association
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「タクラマカン砂漠の駱駝商隊」

   植木町   古 閑 秀 雄  

<1999年9月8日撮影>
NIKON F5  AFNIKKOR 800〜200mm. Pujchvome Velvia.
「シルクロード出会いの旅」

 今回の撮影の旅は、1999年9月3日〜9月12日の10日間で、19世紀そのままの住まいや暮らしを残すシルクロードの民を訪ね撮影することにあった。メンバーは写真クラブのベテラン3人と私を加え4人の少人数であった。

 福岡空港発上海までの1時間50分、早速近郊の古い町「朱家角鎮」など撮影し、夜は上海の夜景、翌朝国内線大型ジェット機でウルムチに飛ぶ、5時間半のフライトであったので如何に国土が広いかを感じさせられた。

 ウルムチは新彊ウイグル自治区の区都でカザフスタン、ウズベキスタン、パキスタンなどからの東西交易の要衝であり、近代ビルが立ち並ぶ人口120万人の大都会であった、ここでは西域独特の民族市場である[二道橋バザール]を撮り、又幸運にもウイグル族やイスラム教徒の結婚式にも出会い撮影交渉も成立した。

 第2日目はシルクロードのオアシス=ドルファンへ往復、高速道路が開通し片道143km2時間で行ける、ドルファンを出て高い高速料金を払って走るとタクラマカン砂漠が広がる、左遠方に天山山脈、道の両側は赤茶けた砂利石の不毛の地、道路は一直線に延びている、どれ程走ったか分からないが突然広い砂漠の右側に白い風車の風力発電塔が数十基目に入った、砂漠の中で真っ青に澄んだ青空に白い風車がよく似合うが何か奇異に感じた。更に進んで砂漠の中のオアシスの清水湖(塩湖)に出会い、次に西遊記で孫悟空の一行が鉄扇公主と戦ったと云われる「火?山」を通り北麓へ抜けると左右にNHKが放映したあの荒涼たる[シルクロード]の場面が展開した、凡そ2000年もの間人々はここを交易路として歩きかよったであろうか、今も変わらないこの光景に唯々感動した、更に砂塵の坂道を登ると中腹にベゼクリック千仏洞に立ち寄り、その後新疆では最も古いアラベスク模様の美しいイスラム建築の「蘇公塔」を見学しカメラに収めた。そして出発時から最も期待した目的地[カシュガル]に向かい空港に着いて飛行機のタラップを降りた瞬間から、空気も埃ぽく鼻がムズムズして、空港で荷物を待つ間、辺りを見ると窓や桟、椅子、床の隅に粒子の細かい砂が積もっていた、このように空港の建物は不毛の砂漠の中にポツンと建てられ、滑走路は雑草の生えた緑地帯と砂漠との境界に砂漠に向かって一直線に創られていた。

 中国は新疆に来てその広さを知り、カシュガルへ来なければ新疆ウイグル自治区の事は分からない]と云われるくらいだ、中国の最西端に位置し西方はキルギスやタジキスタンに、南はパキスタン、インドなどと接し現在もロシアに週2便、パキスタンへ週5便バスが通っている、1999年8月に4人の日本人技術師拉致事件のあったキルギスの現場も目と鼻の先である、また古くからシルクロードの要衝として悠久の歴史と独特の民族文化を残し、中央アジアの影響も色濃く感じさせられる町であった、「思えば遠く来たもんだ…….」
と歌の文句をしみじみ実感した。ここカシュガルではウパルのバザール、イスラム教のモスク・エイティガール寺院、職人街、カシュガールのポプラ並木の風景にシャッターを切った

 さて、最後の撮影地ホータンに向かう、我々の最大の撮影目的は「砂漠に沈む夕日と駱駝の商隊」である、この駱駝はシルクロードに欠かせない友として、何千年もの昔から人々を支えて来た。近くで見る駱駝の柔和な瞳と長い顔があどけなく可愛い。我々が契約した駱駝の主(飼い主)は一昨日から70キロの道のりを歩いて来たと言う。タクラマカン砂漠の砂は粒子が細かく殆ど細泥と言った感じで、一歩一歩あるく度にボーワと砂が舞い上がり、靴は砂にめり込み靴の中にも砂が溜まるくらいだ。荒涼たる砂漠で見渡すかぎりなだらかな起伏が何層にも何層にも広がっている。どのような映像を撮るかイメージづくりが難しいが、私達が高い丘陵に立ち半径百メートル位の範囲で窪地から高い尾根まで孤を画いて商隊を進めて貰う事にして、これを数回行って撮影することにした、条件はすべて整い撮影にかかったが、天候がおち夕日が沈むはずの砂漠の地平線に雲がかかり太陽が遮られ不本意な撮影に終わった(撮影のイメージとして描いたのは地の果てに沈む真っ赤な太陽をバックに長い陰を落としながら不毛の砂漠の背を行く駱駝のキャラバンであった)ついで「ホウタンの三つの宝物」と云われる絹織物、絨毯、宝石の工場を回り、最後にマリクアワテ村の羊の放牧場で長閑な農村風景を撮り、総ての計画を終えジェット機でタクラマカン砂漠を縦断し、万年雪を頂く天山山脈を眼下に見ながらウルムチに向かい、10日間の日程を無事終えて上海空港から帰路に着いた。

 余り長くなるので、西域独特のバザール風景、ウイグル族の生活様式、農村風景等など割愛させて頂きます。

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